裏オルカ

http://derorinkuma.com/jleague-news/61341
裏オルカのことを書こうかと思っていたのですが、ちょうどというか、何とも言えない記事が目に入りまして。
正直なところ、サッカーの生観戦で不快な思いをすることは決してゼロじゃありません。それはゴール裏でなくても同じです。人がたくさん集まるところがどこでもそうであるように、スタジアムでもたくさん人がいる以上、困った人はいます。
お金を払って罵声を飛ばす権利を買ってると思ってる(ようにみえる)人は、まぁしょっちゅう見ます。一応初心者にはゴール裏端の方とか、バックスタンド席をお勧めしますが、試合が思うように進まないとまぁでてくるわけですよ。こういう人、バックスタンド席に多い。
ゴール裏でセンスのないヤジ飛ばすと本当に怖いお兄ちゃんが睨みつけたりするので、まぁ試合中はあまりそういう思いをすることはないんですが、バックスタンド側はそういう抑止力がなかったりするし、ゴール裏を除くと一番安い席だったりもするので。
ただ、やっぱり生観戦に勝る物はありません。選手のよいプレイを、「今のすごいね、かっこいいね」とその瞬間に伝えられるのはスタジアムだけですし、チームが勝てば何千人という人たちが同時に大喜びするんです。そういうのって、生観戦以外では日常ありえないわけで。
で、僕はまぁ「サポーターが選手を支える」というのは全然信じてない人なんですが、一回だけ、サポーターが選手のプレイを変えた、という瞬間を見たことがあります。
負けている試合で、その選手はセーフティにプレイするのが持ち味の選手なんですが、ずーっと応援し続けていたサポーターが、ある瞬間、彼がバックパスをした瞬間にブーイングをしたんです。僕は自分のクラブの選手に対して試合中にブーイング、しかもそれも決して少なくない声量で行われたのをその試合ではじめて見ました。
その後、彼はプレイを変えました。いつもならセーフティに回すことを選択する選手が、リスクを負って前に出るプレイをするようになったんです。僕は5年ぐらい彼を見ていましたが、そういう選択をする選手ではないし、クレバーすぎるところが欠点、というような選手だったんです。
嘘みたいでしょう? でも、これは僕が見た事実です。
本当に大事な試合、数年に一回の「ここで勝つことで優勝に近づく」という試合で、それでも勝てなさそうな時、CKを蹴る選手が僕たちに向かって手を振り上げて、「今、勝負所なんだ、力を貸してくれ!」って言うんですよ。信じられないスピードで飛んでくるボールを意のままに操り、俯瞰していても予想できないようなプレイをする天才達が、どこの誰でもない僕たちの力を欲しいと言ってくれるんです。
いつもそんなことがあるわけじゃありません。それこそ数年に一回とか、入れ替え戦とかそういう本当に特別な試合に限った話です。でも、それに立ち会うにはそこにいないとお話にもなんにもならないんです。
それが、僕がスタジアムに行く理由です。どれだけ不快な思いをしたとしても、それだけの魅力が僕にとってはあるんです。


ともあれ、裏オルカの話。オルカはそういういい話ばっかりを書く予定です。それは僕が伝えたいことだから。だけど、伝えたくはないけど吐き出したいものもあります。それを裏オルカと僕は読んでいて、なんというか、まぁ、あんまり書かないですむといいけどなぁと思いつつも実はこっちの方がすらすら浮かんで頭を抱えていたりします。


(・ω・)ソンナハナシ