第二宇宙速度

わたしは、ダメな子だ。
なんでそう思うかっていうと、学校にまともにいけてない。いわゆる不登校。じゃあ、学校の外ならどうかっていうと、それもやっぱりだめで、サッカーをこの場所で見てる。この場所っていうのはカテゴリー4のこと。普通、ファンやサポーターってのは、ゴール裏、サポーターズシートってところで見る。わたしも去年まではサポーターズシートで見てた。選手の応援さえしていれば、そうそう問題は起こらない場所なのだが、そこでもわたしはしくじってしまった。
だからこの、応援する席でも、ちゃんとした席(屋根があったり、トイレが近かったり、ギリギリに来ても席が確保されていたり)でもない中途半端なカテゴリー4(バックスタンド)に、一人でサッカーを見に来ている。ここは、そういう中途半端な席なので、歌っていると浮く。せいぜいがとこ手を叩くぐらいしかできない。立ってしまうと、後ろの人がイヤな顔をするのがわかる。そういう、肩身の狭い場所。でも、わたしの居場所は(サポーターズシートには)なくなってしまったので、ここにいるしかない。ここよりいい席は、お小遣いじゃ通えない。普通の女の子が服を買ったり、髪を染めたりするお金をまわして、狭いベンチシート50cmをなんとか確保してる。だから髪の毛は真っ黒だし、服はユニクロとguとしまむらだし、中学生の時から同じだっさいメガネだ。でも、しょうがない。わたしにとって、オルクスとリョーマは全てに優先するからだ。
はじめは、友達に誘われたんだと思う(もう昔のことだから覚えてない) 何人かで見に来ていた気がする。けれど、他のみんなは男の子やら部活やらアイドルやらでスイングバイして、第二宇宙速度を超えた。わたしだけがオルクスの重力に魂をひかれたままで、というよりは、スイングバイし損ねたからオルクスにひかれているのだというのが自己分析。まぁ、何かにのめり込む人っていうのは大概そうだと思う。普通の人がのる軌道に突入し損ねて、1つ下の軌道にとらわれてグルグル回ってる。