大人女子、フットサル経由

月に二回。仕事帰りの私は恋をする。


更衣室でお気に入りのKELMEに袖を通す。KELMEというのはスポーツ用品メーカー。肉球のマークに一目惚れをして職場に着ていったら、先輩女子にすごい勢いで食いつかれて、
「ヨーコちゃん、フットサルやるんだ! わたしも今ね、超ハマってるの!」
「…いや、あの、可愛いんで買っただけなんですけど」
「見た目から入るのも大事だよ。スニーカーもジーンズも持ってたよね。水曜日にクリニック、初心者向けに教えてくれるの、それが、あるから一緒に行こう!」
「いやあの、フットサルとかよくわからないし」
「痩せるよ?」
「痩せるんですか!?」
言われてみると、先輩、最近ちょっとスリムになったような。ジーンズ越しのおしりのラインもキュッとした気がする。
「あとね、男の子いる」
…あぁ、笑わないで欲しい。曲がり角を通り過ぎた大人女子に「痩せる」「男の子」はマジックワードなのだ。愛されとかモテとかふわゆるとかバカだって私も思う。けどね、バカでもいいから出逢いたかったの。ただ、それだけなの。