ふたり

マンションのエレベーター、学校めんどくせえなぁ、と思いながら閉ボタンを押そうとしたら、黒ストッキングとローファーに包まれた足が外から突っ込まれた。慌てて開ボタンを押す。
「見えてたんだろ」
「しらねーよ」
けっ、という声は聞こえないが、そういう感じだ。エレベーターの壁にどんともたれかかる。小学生の頃からそうだけど、こいつは寝起きがメチャメチャ悪い。不機嫌オーラ丸出しで、そもそもこの時間に起きていること自体が変だってかんじの奴だ。


いつからか疎遠の幼なじみ。
あいつはギャル、俺は追っかけ。


あいつを目の端から外して、ウォークマンにイヤフォンをつっこむ。ハイレゾ対応のすごい奴だけど、本当はスマホが欲しかった。けど、しょうがない。高校生になったらって言葉を信じるしかないけど、高校なんて遠い未来過ぎてピンとこない。


ノイズが消えて、イントロが流れる。