オルカの歌

合コンのオフサイド

「わかってるよね」 「わかってるよ」 「いっつもそう言ってる」 「今度は本当」 「絶対だよ」 メグが何度も念を押す。 「サッカーの話は」 「しません」 「合い言葉は」 『オフサイドってよくわからなくってぇ〜↑』 しなを作って半音上げてみたが、メグの視…

四人

マンションのエレベーター、学校めんどくせえなぁ、と思いながら閉ボタンを押そうとしたら、黒ストッキングとローファーに包まれた足が外から突っ込まれた。慌てて開ボタンを押す。 「見えてただろ」 「しらねーよ」 けっ、という声は聞こえないが、そういう…

ふたり

マンションのエレベーター、学校めんどくせえなぁ、と思いながら閉ボタンを押そうとしたら、黒ストッキングとローファーに包まれた足が外から突っ込まれた。慌てて開ボタンを押す。 「見えてたんだろ」 「しらねーよ」 けっ、という声は聞こえないが、そうい…

姫様、いい加減になさいませ。 ばあやがぴしゃりと言った。背はわたしのほうが10cmほど高くなったが、頭が上がらないのは変わらない。わたしがわたしを認識した時にはすでにばあやで、わたしは悲しいことに姫である。 ほら、そのようなお顔をなさって、いい…

裏オルカ

http://derorinkuma.com/jleague-news/61341 裏オルカのことを書こうかと思っていたのですが、ちょうどというか、何とも言えない記事が目に入りまして。 正直なところ、サッカーの生観戦で不快な思いをすることは決してゼロじゃありません。それはゴール裏で…

大人女子、フットサル経由

月に二回。仕事帰りの私は恋をする。 更衣室でお気に入りのKELMEに袖を通す。KELMEというのはスポーツ用品メーカー。肉球のマークに一目惚れをして職場に着ていったら、先輩女子にすごい勢いで食いつかれて、 「ヨーコちゃん、フットサルやるんだ! わたしも…

炭火焼き鳥

ウチは住宅街の焼き鳥屋。妙に席数があって、正直なところもてあましている。けど、月に一回か二回、満員御礼1時間待ち、となる日がある。 テレビに目をやる。そろそろかな、と電話の前に移動する。間髪おかずに着信。 「…はい、本日17時半から4名様、あ、お…

おわた(;´∀`)

と、いうわけでオルカの歌-千早編"Singer meets song"が終わりまして、これは独立したEPUBにしてOneDriveに置いておこうと思います。バリッバリの二次創作ですのでね(;´∀`) EPUBバンハオマケガツキマス 実際のJリーグではアイドルに対してブーイングあびせたチーム…

営業コミュその2

前座ははじめてじゃない。デパートの屋上で歌うことも、CDショップで歌うこともしてきた。だから、大丈夫だと自分に言い聞かせる。広報さんのニコニコと、プロデューサーの握り拳に背中を押されてピッチに足を踏み入れる。アナウンスが私の名前を告げた。思…

営業コミュその1

「プロデューサー、来週の土曜日なんですが」 事務所のホワイトボード、知らない予定が追加されていた。 『千早 13時〜 那古野スタジアム ミニライブ』 ああ、とプロデューサーがパソコンから顔を上げる。促されて隣に座る。 「新曲が自動車のCMに使われるっ…

群雛にオルカが載りました

http://www.allianceindependentauthors.jp/p/gunsu.html 群雛の6月号に参加しました。オルカの歌から不登校少女の話を切り出してます。 複数のストアから出てますが、BCCKSで購入するとBCCKS版とEPUB版の両方を使えるようになるのでこれがオススメです。EPU…

シュレーディンガーのレプリカ

オルカの歌の中から、不登校少女のレプリカにまつわる部分を短編として切り出してまとめようとしています。 基本的に横書きの人なんですが、秀丸で縦書き設定にして、ボーン・縦書きにしようとしているところ(割と修正が必要だったりする) ここまで書けばピ…

キャラ表

背番号 ポジション キャラ 1 GK 元代表。関西人。アゴ。 32 右SB 熱血。一応主人公。主力の解雇にたてついてオルクスへ移籍 4 右CB 元代表。シャイ 5 左CB 巨大だが頭脳派。メガネ。 6 左SB 猫背。猫目。不思議ちゃん。 7 MF ボール狩りとミドルシュートに定…

歌詞カード

「こんにちわー!」 腹の底から声を出す。大きな声で、でも怒鳴らないように。バックスタンド最前列から客席を見上げる。そこそこ埋まっている。レプリカやグッズを身につけている人は20%ぐらいといったところか。家族連れ、すでにビール入ってるおじさんたち…

シュレーディンガーのレプリカとマジック

学校にいけてない理由は、わからないし、大人たちは物事には原因があると思い込んでるけど、わたしは「なんとなく」で世の中まわってるとおもってるので、追求にちゃんと答えられたためしがない。ともあれ、わたしはあまり学校に行ってない。たまに行っても…

第二宇宙速度

わたしは、ダメな子だ。 なんでそう思うかっていうと、学校にまともにいけてない。いわゆる不登校。じゃあ、学校の外ならどうかっていうと、それもやっぱりだめで、サッカーをこの場所で見てる。この場所っていうのはカテゴリー4のこと。普通、ファンやサポ…

カテゴリー4

わたしは、ダメな子だ。 なんでそう思うかっていうと、学校にまともにいけてない。いわゆる不登校。じゃあ、学校の外ならどうかっていうと、それもやっぱりだめで、サッカーをこの場所で見てる。この場所っていうのはカテゴリー4のこと。普通、ファンやサポ…

ファンサ

お子さんと写真? いいっすよ。はい。かわいいっすねぇ。いま、何歳? そう、5歳? このチームでは、ファンサを練習後にやる。クラブハウスの駐車場とグラウンドの観覧席との間に胸ぐらいの高さのフェンスがあって、それを挟んでサインしたり握手したりする。…

横浜の夜

やっぱり変な感じだ。南側のロッカールームを出て、北を向く。がらんとした廊下。隔週で歩いていた廊下が、ひどくよそよそしく見えた。と、北側のロッカールームのドアが開いた。仕立てのいいスーツ。小気味のいいヒールの音が近づいてきた。 「社長」 社長…

第一話

ピッ ピッ ピーーーーーーー シーズンの終わりはいつもこうだ。今日と明日の間が不連続になる。明日からは、なにもない。握手はするが、相手と目を合わせる気にはならない。足が重い。それでも行かなければならない。それが仕事だ。負けたらみんな、つまんな…